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2022.09.07

会社の代表者が交通事故に遭って会社の売上が減少した場合、その売上減少を加害者に請求できますか。

会社の売上の減少は、会社の損害になるため、この問題は、交通事故の直接の被害者ではない会社が損害賠償請求できるか、という問題になります(間接損害)。同様のケースのリーディングケースとして、最高裁昭和43年11月15日判決があります。交通事故の被害者は薬剤師で、有限会社の代表者でしたが、取締役は代表者のみ、従業員は名目上妻がなっているだけ、というケースでした。このケースで、最高裁は、“会社は法人とは名ばかりの、俗にいう個人会社であり、①その実権は従前同様代表者に集中して、②代表者には会社の機関としての代替性がなく、③経済的に代表者と会社とは一体をなす関係にあるものと認められる”として、会社の利益の逸失による損害賠償請求を認めました。

 会社の代表者が被害者となった場合、役員が代表者しかいない場合、役員は他にいるが家族のみで名目上の場合には、代表者と会社とが経済的に一体であると認められやすいといえるでしょう。

 他方、役員が複数いる場合、会社が複数の店舗を経営している場合、従業員が複数いて会社の売上高からして相当な割合の給与を支払っていたような場合には、過去の裁判例で代表者と会社との経済的な一体性が否定されているものが多くあり、容易には企業損害を認めない傾向があると言われています。

 また、代表者以外の役員や従業員が被害者となった場合、会社にとって代替性がない人材であることもありますが、そのような場合の会社の損害を認めることについては、裁判例は消極的です。

 ところで、会社役員が事故により休業した場合でも、契約上、会社は役員報酬を減額せずに支払うことになっていることが多いと思われます。この場合、役員には休業損害が発生しないことになりますが、会社には損害が生じたことになり、会社がその損害を賠償請求できることになります(反射損害と言います)。ただし、役員報酬には、労働の対価部分と配当部分があり、労働の対価部分の金額がいくらになるか問題となります。

 この問題はケースバイケースの部分も大きいですし、また上記の説明は裁判をした場合の話ですが、交渉段階では交渉の余地がある問題もありますので、詳しくは法律相談でご相談下さい。